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2021年度最新版・小規模事業者持続化補助金の仕組みと採択率を高めるコツ

コロナ禍の影響もあり経営環境が激変する現代において、小規模事業者が生き残っていくためには、
変化する環境に適応する力が重要になります。
そのためには、新しい設備投資や新商品の開発など、今までにない新しい取り組みが必要です。

そうは言っても、資金がなければなかなかチャレンジできません。
そこで役立つのが、今回ご紹介する「小規模事業者持続化補助金」の制度です。
こちらの補助金制度を利用して、ぜひ生産性や業務効率を高めていきましょう。

目次

  1. 小規模事業者持続化補助金とは?
  2. 「一般型」と「低感染リスク型」の違い
  3. 「追加対策枠」って何?対象となる特例事業者とは?
  4. 小規模事業者持続化補助金|補助金の上限と補助率
  5. 補助金の対象となる「2つの取り組み」とは?
  6. どういう経費が補助金の対象となるの?
  7. 補助金申請に必要な書類について
  8. 小規模事業者補助金の申請から確定までの流れ
  9. 小規模事業者補助金の採択率を高めるコツ
  10. まとめ

1. 小規模事業者持続化補助金とは?

補助金と助成金については3,000以上の制度があり、
主に厚生労働省が関わっている助成金については条件を満たせば受給しやすいのに対し、
主に経済産業省が関わっている補助金は審査によって採択が決まり、競争率も高いため受給は難しくなっています。

ただし今回お伝えしていく「小規模事業者持続化補助金」は、補助金の中ではハードルが低く、
ほかの補助金より採択されやすいという特徴があります。

小規模事業者持続化補助金は、グローバル化が加速するなかで国内企業の99%ほどを占める小規模事業者が、
それに対抗できる力がつけられるように国が支援する制度で、ポストコロナ時代を見据えての支援制度でもあります。

対象となる小規模事業者とは、従業員が20人以下の法人、
または個人事業主(宿泊・娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下)で、
法人であれば会社設立の証となる登記簿謄本、個人事業主であれば開業届が必要です。

また、あくまでも販路開拓などの生産性を向上させる事業計画、または感染症対策を行うことが条件になりますので、
その目的に見合わない取り組みであれば採択されません。
なお、補助金は原則返済不要となっていますので、融資とはまったく異なるものです。

2. 「一般型」と「低感染リスク型」の違い

小規模事業者持続化補助金は大きく2つに分かれます。
1つは、それぞれの小規模事業者が生産性や業務効率を高める取り組みを支援する「一般型」、
もう1つは、ポストコロナ時代に対応する取り組みを支援する「低感染リスク型」です。

低感染リスク型は、2020年当初は「コロナ特別対応型」と呼んでいましたが、
2021年3月の申請から名前を現在のものに変更しています。
名前は変わっていますが内容に大きな変更はありません。
ただし、テレワーク環境整備の項目が削除されていますので、こちらの経費は対象外になります。

一般型と低感染リスク型では、共通する項目もありますが、
補助金上限や補助率、申請方法や申請に必要な地域の商工会・商工会議所によるサポートも変わってきます。
条件が異なるので対象経費も変わってきます。

また、低感染リスク型は、緊急事態措置にともなう特別措置も適応になり、補助金の引き上げもあります。

詳しくは後述する「補助金の上限と補助率」でお伝えしますが、
より多くの補助金を受給できるのは低感染リスク型です。

ネットショッピングへの対応などは生産性を向上する取り組みで、対人接触機会を減らすものでもあるので、
一般型と低感染リスク型のどちらの条件も満たしますが、
ポストコロナ時代に対応するための取り組みとして、低感染リスク型で申請した方が有利です。

3. 「追加対策枠」って何?対象となる特例事業者とは?

コロナ特別対応型だったころは、クラスター発生の恐れのあるナイトクラブやライブハウス、
カラオケボックスや屋内運動施設が特定事業者として追加対策枠があり、
最大で補助金が50万円上乗せとなっていました。

しかし、低感染リスク型に変わってからはこの仕組みはなくなっています。

緊急事態宣言にともなう低感染リスク型の特別措置は、実施された月のうちいずれかの月の売上高が、
2019年、または2020年同月比30%以上減少した事業者を対象にしており、
感染防止対策費の上限を、1/4(最大25万円)から1/2(最大50万円)に引き上げることができます。

2021年の一般型には追加対策枠として、
「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けている小規模事業者、
法人設立日が2020年1月1日以降の会社(または同様の期日以降に開業届を申請した個人事業主)については、
補助金上限が50万円上乗せとなります。

また、複数の小規模事業者が連携して取り組む共同事業については、50万円×小規模事業者数で、
最大500万円までの上乗せが可能です。

4. 小規模事業者持続化補助金|補助金の上限と補助率

それでは、小規模事業者持続化補助金の制度を利用すると、
実際にどのくらいの金額の補助を受けることができるのかについて確認していきます。

一般型

補助率2/3 補助金上限50万円

低感染リスク型

補助率3/4 補助金上限100万円

  • このうち感染防止対策費の補助率は1/4で補助金上限25万円
  • 項目3でご紹介したように緊急事態宣言による特別措置に該当する場合は、感染防止対策費の補助率は1/2、補助上限は50万円に引き上げられます。

たとえば低感染リスク型を利用し、飲食店が100万円をかけてテイクアウト可能な料理メニューを新開発、
100万円かけて室内の換気設備投資した場合、ポストコロナに対応するための開発費100万円の3/4にあたる75万円と、
感染対策設備投資100万円の1/4にあたる25万円の合計100万円を補助金として受給できます。

つまり小規模事業者持続化補助金を受給できれば、200万円の経費のうち、
実費は100万円に抑えることができるということです。

ちなみに感染防止対策費の対象になるのは、接客時のマスク代やアルコール消毒液代、アクリル板などの飛沫防止設備、
換気設備、サーモカメラの導入や衛生管理のための清掃・クリーニングの費用などになります。

5. 補助金の対象となる「2つの取り組み」とは?

企業の売上を伸ばすための取り組みにかかった経費すべてが、補助金の対象になるわけではありません。
小規模事業者持続化補助金では一般型であれ、低感染リスク型であれ、
これからご紹介する2つの取り組みのどちらかに該当している必要があります。

なお、一度申請して採択されなかったとしても再チャレンジは可能です。
取り組みが小規模事業者持続化補助金の目的に合致しているかどうか吟味してから2回目の申請をしてください。

また、一度採択された場合でも、内容の異なる取り組みであれば2回目の申請が可能ですが、
同じ経営計画では審査は通れません。

(1)地道な販路開拓などの取り組み

1つは「地道な販路開拓」です。
商品開発、新サービスの提供、新しいチラシの作成、専門家に指導や助言を受けるといったものが挙げられます。
具体的にいくつか例をご紹介していきます。

  • 飲食店がコロナ禍の中でも販路拡大ができるように、来客だけに提供していた料理をテイクアウトできるように商品開発し、Webからも注文できるようにサイトを再構築する取り組み。
  • 旅館業者がコロナ感染収束後に販路拡大できるよう、外国版のWebサイトにインバウント向けの情報を発信して予約促進に取り組んだり、外国からの来客に対応できるように、施設内の案内表記やメニュー表を多言語化して一新する取り組み。

(2)業務効率化のための取り組み

小規模事業者持続化補助金の対象となる取り組みのもう1つが「業務効率化」です。
新しい設備の購入や、ITの活用などが挙げられます。

  • 得意先と直接会う回数を減らし、受注内容や依頼を受けた業務の進捗状況を共有できるオンラインシステムを開発し、導入するといった取り組み。
  • 食材を加工する機材を新たに購入して、料理の工程にかかる時間を短縮させ、感染収束後の繁忙期に対応できるよう生産性を向上させる取り組み。

6. どういう経費が補助金の対象となるの?

小規模事業者持続化補助金の経費として対象となるものには、条件が定められています。
経費として認められるための3つの条件と13種類の区分について、詳細は下記のとおりです。

(1)3つの条件

  1. 経費の使用目的が、申請した本事業の遂行に必要であると明確にできること。
  2. 交付決定日以降に発生し、対象期間内に支払いが完了した経費であること。
    (ただし低感染リスク型は、2021年1月8日以降に発生した経費も対象となる可能性があります)
  3. 証拠資料などによって支払金額が確認できる経費であること。

(2)13種類の区分

  1. 機械装備等費(製造装置、移動販売車両、ITツールなど)
  2. 広報費(新商品や新サービスのネット広告やチラシの作成費や配布費)
  3. 展示会等出展費(展示会への参加費。ただし低感染リスク型はオンライン開催限定)
  4. 開発費(新商品や新システムの試作開発費など。原材料費は対象外)
  5. 資料購入費(本事業に関連する資料の購入費)
  6. 雑役務費(本事業にために雇用した派遣社員やアルバイトの人件費)
  7. 借料(本事業に利用する機器のレンタル料)
  8. 専門家謝金(助言を受けた専門家への謝金)
  9. 設備処分費(本事業を行うためのスペース確保の設備処分費。総額の1/2が上限)
  10. 委託金(自社では困難な業務を第三者に委託した費用。契約は必須)
  11. 外注費(依頼して店舗改装などを行った費用。契約は必須)
  12. 旅費または専門家旅費(一般型のみ対象。展示会参加などにかかる旅費)
  13. 感染防止対策費(低感染リスク型のみ対象。業種別ガイドラインに基づく感染防止の対策費)

Excelの「補助金額計算用補助資料」がありますので、項目ごとに入力し、間違えのないようにしてから申請します。
経費や金額に不備があると採択に大きな影響を及ぼしますので、しっかりと確認してください。

7. 補助金申請に必要な書類について

ここまで小規模事業者持続化補助金の対象となる取り組みや、補助金の内容についてお伝えしてきましたが、
ここからは小規模事業者持続化補助金の申請方法についてご紹介していきます。

まずは小規模事業者持続化補助金の申請に必要な書類についてです。
必要な書類については、すべての申請者に共通するものと、申請者の区分によって異なるものがありますので、
法人なのか、個人事業主なのか、それとも特定非営活動法人なのかという点も、よく確認して準備を進めてください。

(1)全ての申請者

申請方法は、一般型の場合、電子申請か書類郵送のどちらかを選択することができますが、
低感染リスク型の場合は電子申請限定です。

電子申請はJグランツ(電子申請システム)のみの対応となり、GビズIDプライムアカウントの取得が必須になります。
こちらのアカウント取得には3週間~4週間かかりますので、早めに手続きを始めてください。

法人、個人事業主、特定非営活動法人、すべての申請者に共通して、下記の書類が必要になります。

  • 小規模事業者持続化補助金に係わる申請書(様式1-1)
    ※電子申請の場合は不要。
  • 経営計画兼補助事業計画書①(様式2-1)
  • 補助事業計画書②(様式3-1)
  • 事業支援計画書(様式4)
    ※地域の商工会議所が作成するもので、一般型は必須。低感染リスク型は任意。
  • 補助金交付申請書(様式5)
  • 電子媒体(CD-R・USBメモリなど)
    ※様式1・2・3・5のデータを入れておくこと。
    ※電子申請の場合は不要。

(2)法人(特定非営利活動法人を除く)

法人の場合は共通する書類のほかに、2つの写しを各1部提出することになります。

  • 賃借対照表と損益計画書(直近1期分)
    ※決算期を迎えていない場合は不要。
    ※損益計画書がない場合、受付印のある確定申告書および所得の簡易計算表を提出。
  • 株主名簿

(3)個人事業主

個人事業主の場合は共通する書類のほかに、写しを1部提出することになります。

  • 直近の確定申告書(第一表、第二表、収支内訳書1~2面)または、所得税青色申告決裁書(1~4面)
    ※決算期を迎えていない場合は開業届のみ提出。
    ※収支内訳書がない場合は、賃借対照表と損益計画書(直近1期分)を作成し提出。

(4)特定非営利活動法人

2020年3月の公募から、特定非営活動法人(NPO法人)の申請も可能になりました。
特定非営活動法人の場合は共通する書面のほかに、2つの写しと1つの原本の提出が必須になります。
なお、免税のために確定申告書の提出ができない場合は対象外となります。
また運営資金に補助金が投入されている場合も対象から除外されます。

  • 賃借対照表と損益計画書(直近1期分)
  • 法人税確定申告書(受付印のある表紙と直近1期分の所得簡易計算表)
    ※決算期を迎えていない場合、賃借対照表と損益計画書と法人税確定申告書の代わりに、
    公益法人等収益事業開始申告書の写しを提出。
  • 現在事項全部証明書または、履歴事項全部証明書の原本
    ※申請書の提出日から3カ月以内の原本に限る。

8. 小規模事業者補助金の申請から確定までの流れ

それでは次に、小規模事業者持続化補助金の申請から実際の補助金受給までの流れについてお伝えしていきます。
一般型と低感染リスク型の受付期間や締め切りは異なりますので、まずは日程を確認してください。

① 計画書作成

補助事業計画の事業名や内容、取り組むことで得られる成果を記載します。

② 各地商工会議所への相談

一般型の場合は、商工会議所の作成する事業支援計画書が必要です。
低感染リスク型は任意になりますが、商工会・商工会議所から助言や指導を受けることはできます。

③ 申請

電子申請であれば、一般型でも低感染リスク型にも対応できます。
一般型の場合、電子申請のほか書類郵送でも申請可能です。

④ 審査

外部有識者などにより審査が行われます。
要件を満たしていても、評価が高い事業計画から順番に採択されますので、必ず採択されるわけではありません。
また、補助対象者に合致していない場合や、必要な申請書類が1つでも欠けていた場合、評価は著しく低くなります。

⑤ 採択

申請者に審査結果のメールが届きますので、補助金事務所のホームページを確認しなくても結果がわかります。
採択された場合は、採択通知書と交付決定通知書が届きます。

⑥ 事業の実施

事業実施期間中に経費の支払いまで完了させる必要があります。

⑦ 実績の報告

事業が終了したら、決められた期日までに実施内容と経費内容をまとめて報告します。

⑧ 確定検査

事務局が実施報告書と支出証拠書類の審査および確認を行い、補助金額が確定します。
不備がある場合は数回やり直す可能性もあります。

⑨ 請求

補助金額の確定通知のメールが届きますので、清算払請求を行います。

⑩ 補助金の受給

確定された補助金が支払われます。

⑪ 事業効果報告

事業完了後からの1年間分の状況報告が必要になります。

9. 小規模事業者補助金の採択率を高めるコツ

冒頭でもお伝えしたように小規模事業者持続化補助金は、自分で申請しても採択される可能性のある補助金制度です。
ただし、競争率が高い補助金ですので、審査の際には客観的に見て論理的な経営計画や優れた事業計画が求められます。

そこで重要になるのが、「専門家のサポートを受けること」です。
頼れる専門家のアドバイスを受けることで、採択される可能性をより高めていくことができるのです。

なお、2019年(令和元年)から2020年(令和2年)前半までは、採択率が80%~90%とかなり高かったのですが、
2020年後半は予算の兼ね合いもあり、30%~50%に採択率が急落しています。

2021年(令和3年)については、予算も立て直されているので採択率は上昇すると思われますが、
できる限りの準備をして臨むことをお勧めします。

(1)商工会の経営相談員に相談する

小規模事業者持続化補助金の申請窓口は商工会議所・商工会になりますので、
商工会議所・商工会に相談してみるのがよいでしょう。
申請書の内容や形式について確認をしてくれますので、不備があればここで修正することができます。
それだけでも採択率は上がります。
相談については商工会議所・商工会の会員になっていなくても可能です。

また、小規模事業者持続化補助金の一般型については、商工会議所・商工会の事業支援計画書が必要になりますので、
この場合はどちらにしても、商工会議所・商工会に相談することになります。
低感染リスク型は事業支援計画書については任意ですが、一度相談してみるのがよいでしょう。

ただし、人気のある補助金ですから申請者も多く、商工会の経営相談員がその一人ひとりに
的確なアドバイスをしている時間を確保することは難しいでしょうから、具体的な内容についてではなく、
書類上の不備がないかどうかだけの確認になってしまうかもしれません。

(2)中小企業診断士に相談する

経営計画書については、「市場にどんなニーズがあり、それに対して自社の新サービスが
競合よりもどう優れているのか」という点をアピールしていくことが、採択率をアップするコツになります。

また補助事業計画書には、「販路開拓のためにどのような取り組みをすれば興味を持ってもらい、
購買力を向上させられるのか」といった視点を加えることが重要になります。

このように小規模事業者持続化補助金の採択率を高めていくためには、
実際に具体的なアドバイスをしてきた実績のある「中小企業診断士」に依頼し、協力してもらうことが一番効果的です。

審査員にはどう伝わるのか、第三者の立場から的確なアドバイスをすることができるのが中小企業診断士です。
より採択される可能性を高めたいのであれば、中小企業診断士に相談することをお勧めします。

まとめ

長く続いているコロナ禍ですが、この機会を自社の取り組みを多様化するチャンスと捉えてチャレンジし、
コロナ禍以前よりも発展している企業もあります。

小規模事業者持続化補助金は、そのチャレンジを後押しする支援策です。
積極的にこの補助金制度を利用して、変化に対応できる力をつけていきましょう。

中小企業診断士はそんな前向きな企業を全力でサポートします。
小規模事業者持続化補助金に精通した専門家にぜひ相談して、採択率をアップしてください。