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社員エンゲージメントを高める評価の仕組みとは?

「社員エンゲージメント」とは、企業理念や経営方針に、
どれだけ社員が共感して貢献したいと思っているかを示す指標です。

社員エンゲージメントが高ければ、社員はその企業で働くことに心理的価値を感じ、
離職率が低下するなどさまざまなメリットを得られます。

社員エンゲージメントを高めるためには、社員を適正に評価することが重要です。
そこでここでは、社員の心を満たし、エンゲージメントを高める評価方法や仕組みを紹介していきます。

目次
  1. 評価にメリハリがある会社は必ず伸びる
  2. 報酬以上に社員の心を満たす評価方法とは?
  3. 継続学習や学習への取り組みも評価する
  4. 仕事における自己裁量度と生産性は比例する
  5. まとめ

1. 評価にメリハリがある会社は必ず伸びる

社員と企業のエンゲージメント、つまり社員からの信頼度や愛着を獲得する手段として、
まず、評価制度にメリハリをつけることが大切です。
では、メリハリのある評価とはどういうことなのかを見ていきましょう。

(1)明確な「人事考課」と「人事評価」

「人事考課」と「人事評価」は、どちらも社員の能力や会社への貢献度を測る場面で使用される言葉です。

企業によっては「人事考課」と「人事評価」を同等のものとしているところもありますが、
両者には以下のような違いがあります。

人事考課

社員の処遇を目的に能力などを査定

人事評価

人材育成を目的に業務や業績を評価

昇進や昇給など、給与や賞与などに直結する評価である人事考課に対し、
人事評価は、会社の理念や方針にそった行動や成果を出すまでのプロセスなどを含めた
「貢献度」や「成長度」などを評価します。

そのため、人事評価の大きな枠の中に人事考課があると考えるのが一般的です。

人事考課においても人事評価においても、社員が自身の何をどう評価され、
それがどのように給与などの処遇に反映されているのかがわからなければ、
モチベーションの向上はおろか、会社への不信感さえ生まれてしまいます。

とくに、人事評価に関しては、基準があいまいなケースが多く、
具体的にどのような行動が評価されるのか明確でなければ、
社員が自発的に仕事の改善方法や努力の方向性を見いだすのは難しいでしょう。

人事評価は常にパフォーマンスとモチベーションを向上させるものでなければなりません。
そのためには、評価を得る基準を明確かつ公平にし、できるだけ明文化したうえで社員に示すことが重要です。

(2)高い能力・貢献には、高い評価と報酬で応える

人事評価をしたのちには、それに応じて報酬にメリハリをつけることも必要です。

これまで日本における人事評価は、年度末に向けて評価を行い、新年度に昇給や昇格を行うのが一般的でした。
また、そのベースには、仕事の成果や取り組み方ではなく、年齢や社歴に応じて昇給が実施される、
いわゆる「年功序列賃金制度」が根強く残っているのも事実です。

そのほか大企業においては、労働組合が経営陣と春闘で交渉し、
「基本給1%のベースアップ」など、業績に紐づいた昇給が行われるところもあります。
定期昇給やベースアップは、「決まったタイミングで給料が上がるチャンスが平等にある」ことがメリットです。

しかし個人で考えてみたらどうでしょうか。

個人の貢献度に関係なく一律に給与が上がるのであれば、
一生懸命働いても働かなくても同じことと捉える社員も出てくるでしょう。

「一律アップ」は、平等であったとしても、決して公正ではないのです。

そのため、刹那的な満足度の向上には効果があっても、
継続的なパフォーマンスやモチベーションの向上には、あまり効果的ではないといえます。

社員の自発的な成長を促すためには、具体的で明確な人事評価、そしてそれにともなった給与体系が必要です。

高い能力を発揮し、企業の利益に貢献した社員には、必ず高い報酬と評価で応えるようにすれば、
優秀な人材はさらに成長しようと努力し続けるでしょう。

あわせて、そういった人材の流出を防ぐこともできます。

「適切に評価されている」と実感することで社員エンゲージメントが高まって退職リスクが減り、
優秀な社員が育つことで、会社の業績アップにも結びついていくのです。

2. 報酬以上に社員の心を満たす評価方法とは?

社員の貢献や努力に、高い報酬で応えることは重要ですが、
「高い報酬を支払っておけば、社員エンゲージメントは高まる」と考えるのは危険です。

大切なのは、報酬以上に社員の心を満たすことです。そのために企業ができることを紹介します。

(1)「報酬」ではなく「評価」がエンゲージメントを向上させる

報酬は、社員の満足度を高めるひとつの要素であることは事実です。

どれだけ働いても報酬が上がらず、上がったとしても評価に関係なく横並びの一律昇給ではモチベーションを保てず、
社員の心が満たされることはないでしょう。

しかし高い給料を払うだけで社員エンゲージメントが高まるかというと、決してそうではありません。

多くの社員は仕事に「やりがい」や「意味」を求めており、
必ずしも報酬が常に最優先事項とされるわけではないのです。

重要な仕事を任され、それをやり切ったときに会社が適切に評価してくれることが重要であり、
報酬はその評価の証として得られるものであることが理想です。

(2)「貢献度」と「成長度」で評価する

社員と会社のエンゲージメントを高めるのは、
報酬そのものよりもむしろ評価方法やその内容であるケースも少なくありません。

たとえば営業成績や売上など、「数値として目に見える貢献」だけを評価してはいないでしょうか。
もちろん業績に直結する結果を出したことは、評価されるべきことです。

しかしそれにともなう努力、またその人を支えた周囲のサポートに対する適切な評価も、社員は求めているものです。

個人個人の挑戦や学習機会の活かし方、人材育成への貢献、自身の成長への貢献も評価してくれることを感じると、
社員は企業への信頼を深め、エンゲージメントが向上していきます。

3. 継続学習や学習への取り組みも評価する

継続学習や学習に取り組む姿勢についても評価することが大切です。

業務の内容によっては資格が必要なことも多く、資格取得の費用をサポートしたり、
有資格者になると手当を付けたりしている企業は多いでしょう。

しかしそういった業務に直接関係のある資格や学習だけではなく、
趣味や充実した生き方を目指す取り組みをしている社員への評価制度を作るのもおすすめです。

どんなことであれ、自身の成長に向けて日々努力を重ねる姿勢は、業務にも必ず活かされます。
本人の成長だけではなく、周囲の社員にもポジティブな影響を与えてくれるでしょう。

そしてそういった取り組みに対して支援してくれるような企業を、社員は高く評価します。
その結果自然とエンゲージメントが高まり、影響を受けた多くの社員が能動的に貢献してくれるようになるのです。

4. 仕事における自己裁量度と生産性は比例する

次に、よく比例関係にあるといわれる、仕事における自己裁量度と生産性について、
具体的にどういったことなのか解説します。

(1)自己裁量度の高い社員ほどワークエンゲージメントが高い

自己裁量度とは、仕事を自分でコントロールする度合いを指します。
仕事について自分で選んだり判断したりする範囲がどれくらいあるか、とも言い換えられます。

仕事をするときに、ただ与えられた仕事を受動的にこなすのか、すべきことを自分で決めて能動的に働くのかは、
ワークエンゲージメントを大きく左右することが特徴です。

自己裁量度

仕事を自分でコントロールする度合い

ワークエンゲージメント

仕事に対する熱意・没頭・活力の3つが満たされている心理状態

2018年にITOKIが実施した
「働き方の自己裁量を高めるとワーカーの能力は解放されるのか」(https://www.itoki.jp/catalog/pdf/itoki_xorkstyle_report_2018.pdf)の調査によると、
自身の自己裁量度が高いと答えたワーカーは、生産性が高い仕事ができていると回答した割合が
66%にも達したのに対し、自己裁量度が低いと答えたワーカーはわずか30%という結果になっています。

またワークエンゲージメントについてスコア化した結果も、
自己裁量度が高いワーカーは3.6ポイントであったのに対し、
低いワーカーは2.27ポイントでした。(最高6ポイント・日本平均2.87ポイント)

このように、生産性もワークエンゲージメントも、自己裁量度に比例して高くなっていくのです。

これは内勤であるか外勤であるか、
またどのような業務を行っているかにかかわらず同じ傾向を示していることが特徴です。

(2)自ら生産性を上げるために積極的に工夫する傾向

社員に裁量を任せると、自ら生産性を上げるためにさまざまな工夫をこらすようになることがメリットです。

従来日本の企業は縦型構造となっており、そのなかにおいてトップダウンで意思決定されるのが一般的です。
つまり上層部が意思決定を下し、その指示に基づいて社員が動きます。
そこに「自分で決める」自由はほとんどありません。

そのような裁量が十分に与えられない環境では、
仕事は「言われたことを言われたとおりにやる」だけのものになりがちで、
責任を感じることもなければ達成感を得ることもありません。
そういった状況で、社員の生産性やワークエンゲージメントが高まることはないでしょう。

しかし裁量を与えられ、自ら決めた仕事を自らの意思でコントロールできるようになると、
まずは仕事への責任感が生まれます。

上からの指示ではなく、自身で立てた目標であれば、
目標達成までのプロセスも自ら工夫し実践するようになりますし、成果を得た時の達成感も大きいものです。

その達成感が、さらに仕事に対するモチベーションを上げ、
社員は、自分の能力を発揮して結果を出す優秀な人材へと変貌していくのです。

ライフスタイルひとつとっても、多様性が増し、それが許容される世の中になり、
職場においても「自分の意思」を尊重してほしいと考える人が増えてきました。

仕事の目標値や進め方を自分で決めたいと考え、
そしてそれを尊重することで生産性もワークエンゲージメントも上がるのであれば、
社員に裁量を与えない理由はないでしょう。

まとめ

社員エンゲージメントが高まると、社員は能動的に会社に貢献できる方法を考えるようになり、
業績が向上していきます。

社員エンゲージメントを高めるためには、社員を正当に評価し、それに応じた報酬を与えることが基本です。
その際には目に見える結果だけではなく、数字には見えない貢献についても評価項目や基準を設定し、評価しましょう。

また、社員は与えられた仕事をこなすだけでは生産性もエンゲージメントも高まりません。

モチベーションを高め、能動的に動く社員に育てていくには、
社員に裁量を与え、自ら考え仕事をすることで達成感を得られる環境作りも大切です。