[認定経営革新等支援機関]成長経営と人材活用の専門家『mieux partners(ミュウ・パートナーズ)』

無料相談・お問い合わせ

補助金の申請は自分でもできる?自分で申請するコツ

経済産業省では、事業者を支援するためのさまざまな施策を展開しています。
その中でも補助金事業は、条件に合致していれば積極的に応募したいところです。

しかし補助金は応募すれば誰でも採択されるわけではなく、審査に通らなければなりません。
そのためには審査員の目に留まり、「この事業なら」と思ってもらえる書類を作り上げる必要があります。

そこで本記事では、採択率を少しでも高めるような申請書を自分で作成する方法やコツを、
中小企業診断士の目線で解説していきます。

目次

  1. 自分で申請して採択の可能性がある補助金は2つ
  2. 補助金を申請する際に相談に乗ってくれる場所はある?
  3. 補助金の採択率を上げる申請方法・事業内容のポイントとは?
  4. 審査員は「申請書」のみで採択を判断する
  5. 「自分で申請」VS「専門家に相談」どう違う?
  6. まとめ

1. 自分で申請して採択の可能性がある補助金は2つ

経済産業省が提供する補助金事業には、補助金の額が小さい順に以下の3つがあります。

  • 小規模事業者持続化補助金(一般型/補助上限額:50万円)
  • IT導入補助金(補助上限額:450万円)
  • ものづくり補助金(一般型/補助上限額:1,000万円)

このうちIT導入補助金については、ハード・ソフト・システムなど、何らかのITツールベンダーとの
協力が不可欠となり、自分だけで申請するのは困難です。

対して、小規模事業者持続化補助金とものづくり補助金に関しては、申請書さえ作成すれば自分で申請が可能です。
ただし申請書も、ただ「埋めればいい」ものではありませんので、
商工会議所の経営相談員などに相談をしながら作成するのが一般的です。

ここでは自分で申請ができる上記2つの補助金について、簡単に概要を確認しておきましょう。

(1)小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が販路開拓や生産性向上に取り組む費用を支援する制度です。
経営計画に沿って行う販路開拓の取り組みを支援する「一般型」と、
ポストコロナを踏まえた感染対策への投資を支援する「低感染リスク型」の2種類があります。

常時使用する従業員が20人(宿泊業・娯楽業をのぞく商業・サービス業の場合は5人)以下の
法人・個人事業主が対象です。

◀ 表は左右にスクロールできます ▶
補助金上限額補助率
一般型50万円(単独申請の場合)
※複数の事業者が連携して取り組む共同事業の場合で500万円
3分の2
低感染リスク型100万円4分の3

(2)ものづくり補助金

生産性向上のための革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセス改善のための設備投資を支援する補助金です。
「一般型」と「グローバル展開型」の2種類があります。

中小企業や小規模事業者が対象の補助金のため、
補助対象者の要件には資本金、従業員数なども細かく定められています。

◀ 表は左右にスクロールできます ▶
補助金上限額補助率
一般型1,000万円中小企業:2分の1
小規模事業者:3分の2
グローバル展開型3,000万円中小企業:2分の1
小規模事業者:3分の2

補助金・助成金の種類をもっと詳しく

2. 補助金を申請する際に相談に乗ってくれる場所はある?

「補助金の申請は自分でもできる」とはいうものの、採択されるためには一定レベルの書類に仕上げる必要があります。
補助金の申請に際し、相談に乗ってもらえる場所にはどのようなものがあるのでしょうか。

(1)商工会議所、商工会の経営指導員に相談する

中小企業の強い味方となるのが、商工会議所や商工会の経営指導員です。
経営指導員とは、小規模事業者の経営の改善を目指して金融・経理・経営などの相談に乗る専門家で、
補助金の申請のお手伝いもしてくれます。

相談自体は無料ですが、市であれば商工会議所、町村であれば商工会の会員になる必要があります。
入会金や会費は商工会などによって異なりますが、一般的には1カ月あたり1,000円~2,000円程度と少額です。
補助金申請以外の経営指導も受けられるので、加入を検討してみるとよいでしょう。

(2)商工会議所、商工会のセミナーに参加してみる

多くの商工会議所・商工会では、補助金に関するセミナーを定期的に開催しています。
セミナーでは、制度の概要や申請書作成のポイントをわかりやすく解説してくれます。
会員になるとお知らせが来るので、まずは参加して話を聞いてみるのがおすすめです。

(3)商工会議所、商工会主催の無料相談に申し込む

商工会議所や商工会では、中小企業診断士を招いての無料相談会を開催することも少なくありません。
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対応するための診断や助言を行う国家資格を持つ専門家を指します。
経済産業大臣が、一定レベルの能力があると認めた人を登録します。

無料相談では、中小企業診断士がより専門的な知識をもって補助金に関する相談に乗り支援してくれるので、
相談会が開かれるときには積極的に参加するとよいでしょう。

3. 補助金の採択率を上げる申請方法・事業内容のポイントとは?

補助金を申請するのには、さまざまな書類を作成するなど相応の準備が必要です。
時間をかけて申請する以上、できるだけ採択率を上げたいですよね。

ここでは補助金の採択率を上げるにはどうすればいいのか、申請方法や事業内容のポイントを解説します。

(1)年度初めに申請する

補助金事業は、年に数回に分けて公募されますが、回が進むにつれて採択率が落ちる傾向にあります。
補助金事業は予算が決められており、応募数が多くなれば、当然、競争率も高くなります。
基本的に年度の初めは申請数が少ないため採択率が高くなり、年度が進むにつれて申請数が増えて
採択されにくくなることが特徴です。

そのため採択率を上げるには、ほかの企業に先んじて申請できるよう、
可能であれば初回の申請を目指して前年度から準備を進めることがポイントです。

(2)社会性のある事業であること

補助金は、社会性のある事業であれば採択されやすくなります。
社会性があるということは、その事業を行うことが社会の役に立つことを意味します。

補助金は公的資金、つまり、税金が原資となっています。
単純に、一企業の利益をあげるために費やすべきお金ではないのです。
提供する商品やサービスが、多くの人々の課題解決に役立つものであることが重要です。

(3)市場ニーズが見込まれる事業であること

採択されるためには、提供する商品やサービスが市場で求められている、ニーズがあるものであることも大切です。
いくら自分が優れた商品やサービスだと感じていても、
それを購入したい人や、使用したいと思う人がいなければ価値は認められません。

事業としてどのような顧客をターゲットとし、
その顧客はどのような商品やサービスを課題解決に必要としているのかを、
できれば統計資料などを活用して説明できると採択率が高まります。
また、競合がある場合は、その商品・サービスと比較して優れている点を示すようにしましょう。

(4)将来性のある事業であること

補助金を申請するときには、自身の事業が将来性のあるものだとアピールする必要があります。
そのためには、納得感のある事業計画書の作成が重要です。

誰の、どのようなことに役に立つ事業なのか、それを行うことでどれだけの収益が見込めるのか、
その根拠は何なのかを明確に示し、「その実現のために補助金が必要になる」ことを真摯に訴えましょう。

4. 審査員は「申請書」のみで採択を判断する

補助金の採択を行う審査員は、毎回タイトなスケジュールのなか、何万と届く申請書に目を通さなければなりません。
業務とはいえ、審査員も人間です。
一見しただけで読みにくい、何を言いたいのかわからない申請書は、
それだけで読んで理解する気がなくなってしまうこともあるでしょう。

申請書は読む相手のことを考えて、わかりやすく読みやすいものに仕上げることが大切です。
ここからは採択されやすい申請書の書き方を紹介します。

(1)補助金を受ける事業の目的を明確に

補助金の申請書は、「なぜその補助金が必要なのか」を端的に伝えるものです。
補助金は施策にそった事業に対して支給されるものであることを考えると、
「補助金を費やしたい事業がいかに補助金の目的にそっているか」をアピールすることが重要です。

たとえばサービス開発・試作品開発などを目的としたものづくり補助金事業に応募するのに、
「新規販路を開拓したい」と訴えても的外れです。
補助金を活用したい事業の目的が、応募する補助金の趣旨にそったものであることを明確に示しましょう。

(2)タイトルはわかりやすく簡潔に

申請書の冒頭に入れるタイトルは、多忙な審査員がまず目にする非常に重要な項目です。
事業の内容が理解できないようなわかりにくいタイトルであれば、それだけで読み進める気になりません。
そのため少ない字数でわかりやすく表現し、審査員の心をつかむキャッチーな表現にできればベストです。

タイトルは「事業そのものを表す」と考えましょう。
申請書を作り上げ、全体像が明らかになった最後に練り上げるのがおすすめです。

(3)業界に詳しくなければわからない表現は避ける

申請書を作成するときは、その業界に詳しくなければわからないような専門用語や、
難解な表現を避けることも大切です。
申請書に目を通す審査員は、自分が応募する事業の専門家であるとは限らず、
むしろその業界の素人である可能性の方が高いでしょう。

いくら高度な内容で書類を作り上げたとしても、審査員が理解できなければ採択される確率は下がります。
独りよがりな内容にせず、誰が読んでも内容が理解できるような表現を用い、
専門用語には簡単に解説をつけるなど配慮しましょう。

(4)特徴や有効性は事実を「数字」と「根拠」で示す

申請書を作成するときには、「数字」と「根拠」を明確に示すと効果的です。
たとえば、「徹底的に軽量化を図る」ではなく「既存商品の3分の1の重量にする」、
「コストダウンする」より「コストが20%削減できる」とするほうが明確です。

また数字を扱うときには、できるだけその根拠も記載することが大切です。
「〇〇分野に関しては、年間〇千万円の市場規模の拡大が見込まれている
(2021年度版××社「〇〇市場リポート」参照)」といったように、根拠を具体的に記しましょう。

(5)申請書全体をストーリー仕立てで読みやすく

申請書は、全体を通して「ストーリー仕立て」になっていると読みやすく、
審査員に興味を持って最後まで目を通してもらえる可能性が高まります。

たとえば、「現在こんな課題を抱えている」→「課題解決に向けてこんなことに取り組みたい」→
「課題が解決できたらこんなことを実現できる」→「そのために補助金が必要」と「起承転結」を意識すれば、
審査員にも興味を持って読み進めてもらえます。

5. 「自分で申請」VS「専門家に相談」どう違う?

補助金は、自分で申請書を作成して申請することができる一方、専門家に相談する人も少なくありません。
自分で申請するのと専門家に相談するのとでは、どのような点が異なるのか、メリット・デメリットを比較します。

(1)自分で申請する際のメリット・デメリット

補助金事業に自分で申請するメリットは、なんといってもコストを削減できることです。
申請書の作成を外部に依頼すると、どうしてもコストがかかります。
その点、自分で作成すれば、必要なのは自分の手間と時間だけで持ち出しは一切ありません。

しかし補助金事業の申請書は、一定の完成度を求められます。
とくに事業計画書などの作成に慣れていなければ、専門家のサポートなしで
審査員を納得させる精度に仕上げるのは至難の業です。
想像以上の手間と労力、そして時間が必要になることは、デメリットとして覚悟しておく必要があるでしょう。

(2)経営のプロ「中小企業診断士」に依頼する際のメリット・デメリット

補助金の申請書は、経営のプロである中小企業診断士に依頼すれば精度の高いものに仕上がることが期待できます。
補助金の申請に慣れた診断士であれば、ポイントを押さえられるうえ、
第三者である専門家の意見を反映することで、審査員から一定の信用度が得られます。

ただし中小企業診断士に依頼すると、一定のコストがかかります。
小規模事業者持続化補助金で手付金10~20万円・成功報酬なし、
ものづくり補助金なら手付金10~20万円・成功報酬10%程度が相場です。
費用はかかるものの、自分で申請書を作成するよりも説得力のある申請書に仕上がることを考えると、
決して高くはないでしょう。

まとめ

小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金であれば、自分で申請書を作成して応募することが可能です。
商工会議所や商工会など、無料で相談に乗ってくれるところをうまく活用するとよいでしょう。

ただし、審査は申請書のみで行われることから、精度の高いものに仕上げなければ、採択される確率は下がります。
目的やタイトルをわかりやすく明確にする、数字や根拠を示して納得感を出すといったテクニックが必要です。

コストはかかってしまいますが、中小企業診断士に依頼すれば、
プロの視点を反映した説得力のある申請書を作成できるので、検討してみるのもおすすめです。